フィリピン、ルソン島北部の山岳地帯にある村「サガダ(SAGADA)」独自の生活様式、言語、文化を守りながらそこで暮らすイゴロット族に属するカンカナイ語を母国語とするカンカナイ族が創り出す過去より継承された伝統的な手織りの織物が「サガダ織り(SAGADA FABRIC)」です。
サガダ織りの模様は複雑でかなりの手数を要するため、通常の手織りだと1か月間にわずか28メートルの布しか織ることが出来ません。
サガダ地域最大の雇用施設であり、多くの地元住民を雇用している「SAGADA WEAVING 1968」の代表であるエズラ・アランドゥクは、従業員の生活を守るためにもより安定的な生産を目指す必要がありました。
そこで、フィリピン政府直轄機関である「フィリピン繊維研究所(PTRI)」が発表した「ドビー織り」という技術を取り入れ、複雑な模様をより安定的に生み出すことに成功しました。
ドビー織りの技術により、よほど複雑な織り模様を除いて、デザインの作成と再現にかかる時間が短縮されるようになりました。
手織りの味わいを大切に残しつつ、働くスタッフのために、そして製品を使うユーザーのために、新しい技術を取り入れていくSAGADA WEAVING 1968の絶え間ない試みはこれからも続きます。
2011年、フィリピン政府知的財産庁(IPOPHL)の商標局と特許局は、サガダ織りの重要な模様となっている杵と臼の模様について特許証明書(IPO登録証明書番号4-2009-006672)を付与しました。
またIPOPHLは、SAGADA WEAVING 1968(特許登録番号3-2009-00441から00446)に、杵と臼のデザインを組み合わせた6色からなる工業デザインの製造・使用・販売・輸入に関する独占的権利を付与しました。
SAGADA織り柄デザインとカラーサンプル。
手織りの布を生み出すために、スタッフは木製の織り機を使って複雑な作業をこなします。
「SAGADA WEAVING 1968」は、故アンドレア・ボンダッド女史によって1968年に創立されました。
創立当初の10年間はレパントクラフトの製織事業を主としていましたが、1978年に現在の本部である「SAGADA WEAVING 1968ハウス」に移転。サガダ織りを主としたファクトリーへと移行しました。
アンドレアの死後、彼女の息子であるエズラ・アランドゥクが伝統と技術を受け継ぎました。
エズラはサガダ織りの素晴らしさを世間に広めることを目指し、サガダ織りによる様々なファッションアイテムを展開しています。
町の中心部から徒歩3分。サガダで最もトレンディなスーベニアショップのひとつが「SAGADA WEAVING 1968ハウス」です。ハウス内のファクトリーには誰でも立ち寄る事ができ、熟練した職人の織り作業を垣間見ることができます。